救命救急センターとはどういった役割を担う医療機関なのか、詳しく見ていきましょう。
救命救急センターは都道府県が指定する医療機関で、地域の医療計画書に基づいて運営されています。命の危機が迫る救急患者を24時間体制で受け入れており、一次救急・二次救急の転送病院として機能している、いわば救急医療における最後の砦です。医師や看護師などの医療従事者に対して専門的な研修を実施し、救急患者の処置に備えます。極めて迅速な対応を迫られる場面が多く、その中で的確な救命処置や診療の実施が求められます。設備要件として、責任者が直接管理する20床以上の専用病床や集中治療室を有していることが定められています。加えて、専用診療室や緊急検査室、放射線撮影室、手術室などが設けられており、救急患者を幅広く受け入れるための体制が整っていなければなりません。
人員に関しては、三次救急に関する専門的な知識と技術を有する専任の医師、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師などが在籍しています。救急医療における重要な役割を担う医療機関で、2018年時点で全国に289施設存在します。
救命救急センターに収容される患者のうち、急性中毒や広範囲熱傷などの特殊疾患患者の受け入れや診療が可能な施設を高度救命救急センターと呼びます。設備基準は救急医療対策事業実施要綱に基づいて定められています。高度救命救急センターは、前提として特殊疾患患者に対する救急医療を実施するための高度な診療機能を有していなければなりません。24時間体制で患者を受け入れるための人員配置基準として、医師は高度救命救急医療に常時対応できる専門性が求められます。併せて、麻酔科医など手術に必要な人員も確保しなければなりません。看護師についても、特殊疾患患者の診療を実施できる人員の確保が必要です。手術に必要な動員体制をあらかじめ考慮した内容となっており、常に必要な処置を実施できる状態を保たなければなりません。なお、通常の救命救急センターでも特殊疾患患者の診療は可能であり、役割の区分が明確に定められているわけではありません。
設備に関しては、高度救命救急センターとして必要な医療機器を備えていることが整備基準の1つに含まれています。2018年時点で、高度救命救急センターは全国に38施設存在します。通常の救命救急センターよりも救急かつ高度な医療を必要とする患者を受け入れるケースが多く、より重要な役割を担う医療機関です。